褒めれば育つのか

Posted By taga on 2012年11月8日

今日の報道で、子どもを褒めたら育つことが証明されたと

盛んに言っている。

これって、そんな単純な話なのかなあ。

この前、親塾の講座で

「教育に関するウソ・ホント」をしたときに、

子どもは褒めれば育つのかという話をした。

その内容を一部紹介する。

いつも通り、話原稿だから、敬体である。

 

子どもは褒めれば育つのでしょうか。

これは、全く違う意見も世の中にはあります。

アメリカは、国をあげてセルフエステームに取り組んだことがあります。

ともかく子どもたちを褒めていこうということを、国をあげてやりました。

その結果、失敗したんですよ、アメリカは。

その原因ははっきりしています。

褒めることだけを徹底して、規範や規律、ルールを守るということを指導しなかったことによるのです。

そして道徳を個人の考え方の尊重ということで、端に追いやってしまったのです。

野口桂子さんの「子どもはみんなヒーローになれる」という本から、

どういうことであったのかを、示しましょう。

 

褒めること自体は悪いことではありません。

むしろ、大いに褒めて育てるべきです。

しかし、褒めて褒めて褒めまくって教育していると、

褒められることが当たり前になって、

褒められないとモチベーションが下がるということがあります。

褒められるというのは、人に評価してもらうということです。

自分で評価することではありません。

だから、褒められるというのは受け身で、

基本的に他者からの評価をあてにする、ということになってしまうわけです。

何かを達成しても、褒められなければ、評価された気持ちにならない、

それは、本来の人間の思いとは、僕は違うと思っています。

例えば、学習発表会で劇や合唱をしていたときのことです。

子どもたちがやりきって、いい気持ちになったときには、僕に

「どうだった」

なんて聞かないんですよ。

舞台から降りてくる子どもたちは、僕とハイタッチしたり、親指を突き出したりして通るけれど、

だれ一人「良かったか」なんて聞きません。

僕は、そういう発表会をいつもめざしていました。

本当にすてきなものができたなと、子どもたちに思ってほしい。

子どもたちに、その充実した喜びを感じてほしい。

僕に評価を求めなくても、自分たちが舞台で得た充実に、満足してほしい。

がんばって、協力して、一つのものを作り上げて、その充実した達成感が、

きっと子どもたちの人生を支えてくれると僕は思っていました。

そうじゃなければ、学習発表会なんてしている意味は、ありません。


それから、どんなことを、誰に褒められるか、

ということもポイントの一つです。

褒められると、自分の成果が下がるような気がする相手もいます。

やはり、敬愛する相手に褒められると、うれしくてやる気が出るものです。

高学年では、褒められたら、その行為を止めてしまう子どももいます。

恥ずかしいんですね。

人知れずに、そっと善行を重ねる子どももいるものです。

みんなの前で褒められたとたんに、その子のモチベーションはなくなってしまいます。

僕は、そういう子どもを見つけたら、その子の性格をよく考えて、

あえてみんなに言わずに、

「僕は、君のしていることを、分かっているからね。」

というメッセージだけを伝えるようにしていました。

要するに、なんでも褒めればいいというものでは、ないんですよ。

ケース・バイ・ケースということです。

それでも、褒められると子どもは育つんですよ。

褒めれば育つというのは、正しいのです。

ただし、ほめ方のタイミングと、子どもの性格をよく考えて、褒めるということが、大切です。

 

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