命日

Posted By taga on 2015年10月26日

教え子の霊前で
毎年のように短い対話をする。
この日はいつも、彼の最期のときを思い出す。
危篤と聞いて神大附属病院までとんでいったら
少し持ち直して、かすかな反応もあった。

ところが、学校にもどった瞬間に
「今亡くなりましたというお電話がありました。」
と。
今でも、あのとき僕らが行くのを待ってくれていたのだと
思っている。

僕が各地で生命の授業をするのは、
震災の思いと
彼への思いがモチベーションなのだ。
「命があるから生きる」
と言ったのは、彼の妹。
その子も僕の教え子。

卒業式の謝恩会で、車椅子でニットの帽子を被った彼を前にして
どうしても言いたかった。
ビデオに撮っているので、ずっと残っていくだろうから、
彼がどう生命を大切にしていたかを伝えておきたかった。
まもなく消え行く灯を前にして。

「みんなには、一生懸命生きてほしい。一生懸命に生きるってどういうことか分かるかな?
幹人が大変な病気だということは、みんな知っているよね。
苦しいに違いないのに、幹人が文句を言ってるの、聞いたことがあるか?
ないだろう。
一生懸命にがんばっているんだ。
一生懸命とは、文句を言わないで精いっぱい生きる事なんだよ。」

言葉は自分に跳ね返ってくる。
いつも霊前で
「僕は一生懸命に生きていると言えるのかな、幹人」
と、問いかけている。

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