『学級づくりの深層』発売

Posted By taga on 2015年11月6日

北海道の中学教師、堀裕嗣さんとの共著の第2弾。
当たりの話はどんどんエスカレートして
おもしろいところへ入っていっている。
僕の書いたところの一部を、以下に紹介する。

◆ 小学校での学年づくりの難しさ
 中学教師は、担任しているクラスに一日のうち一度も授業に入れない日がある。
朝や帰りのミーティングしか子どもたちと顔を合わせることがない日もあるのだ。
さらに、子どもを一つの教科からしか見ることができない。教科担任だからである。
 だから、必然的にチーム【学年】として子どもたちを見ていこうとする。
構造的にチームにならざるを得ないのである。
 小学校の教師はそっくりそのまま中学校の真似をすることはできない。
一日に5時間自分のクラスで授業をして、他のクラスで授業をすることはほとんどない。
クラスの子どもとの密着度が中学校とは違いすぎるのだ。
 チームの考え方を一部取り入れて、部分的な教科担任制を取り入れたり、
ティーム・ティーチングを取り入れたりする学校も増えてきたが、十分に機能しているところは少ない。
 うまくいかない理由は二つ。
 一つは、学級王国体質の強い先生が、どうしても自分のクラスに他の先生が入ることへの抵抗感をぬぐえないからだ。
チームというのは、一人一人が自分の考えで行動できなければならない。
誰かの命令通りに動くのは、チームとは言えない。
お互いに補い合い、助け合っていくというフラットな発想が必要だ。
 もう一つは、子どもに関する話題でコミュニケーションすることが日常的に行いにくいからである。
これは物理的な時間を確保することと同時に、
他の教師に対して自分の持つ子どもの情報を全て開示していくという信頼が必要なのだ。
 この二つがどうも小学校の教師は苦手である。
一日に5時間も授業で入っていたら、自分のクラスだけに思い入れが生じるのは当たり前のことでもある。
学年全体がチームになるということは、本当に難しい。
 僕はずっと3年生以上が一部の教科担任の学校で勤めてきた。
一学年二クラスで、僕の場合は主に国語と社会を二クラス乗り入れという形だった。
この程度の規模ならば、一部教科担任制というのは実施しやすい。
規模がそれ以上になれば時数の関係で厳しくなるし、
単級ならばそもそもチームにはなり得ないだろう。
 その経験から言うと、やはり自分の囲い込み意識をどうクリアするかということが最大の問題だと思う。
自分はこの子を理解しているが他の先生達には分からないだろうという仲間に対する不信感。
それを取り去ることが、とても難しい。、建前は「チームなのだから信頼し合わなければならない」ということなのだが、
そういう基盤をつくることは、言うほど簡単なことではないのだ。

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