親力⑥

Posted By taga on 2022年2月12日

※ プラスの言動を見つけられる。
 子どもを観察する時に、どういう視座から子どもを見ているのかということが大切です。
 子どものネガティブな言動に目を向けていくと、たくさん見つかります。良いところを探すよりも、欠点を見つける方が簡単なのです。人は、どうしても欠けたところに目が向くのですね。できているところには、意識しないと目が向かないのです。
 例えば、三年生ぐらいからおうちの方が先生によく言う言葉があります。
「うちの子、最近、人の悪口ばっかり言うようになりました。」
というような言葉です。
 確かに、これまであまり他人の悪口を言わなかった子どもが、悪口を口にするようになったら、保護者は不安でしょうね。でも、「ばっかり・・・」はないでしょう。子どもは人の悪口を一日中話しているわけではないはずです。おそらく、悪口は話していることのごく一部なのに、それが「ばっかり」と感じてしまうのです。
 よく聞いていたら、そうではないことをたくさん話しているはずなのですよね。

 子どもの良いところを見るには、まず、できて当たり前だという観念を捨て去ることです。
「ある年齢に達していたら、このぐらいのことはできて当たり前だ。」
というようなことを、我が子にあてはめないことです。
 人によってできるできないは違います。同じことができるようになるためには、時間のかかる子どももいます。他者よりはずっと時間がかかっても、その子ができるようになるまでじっと待ってあげるのです。そして、できるようになったら、
「良かったねえ。」
と、一緒になって喜ぶことで、認めていくことができます。

 いつも、
「この子はどうしてこういう行動をとるのだろうか?」
という目で、子どもの言動を見つめ直しましょう。
 子どもの言動には、全て意味があります。
 一年生の時、夏休みにトラックに足を引かれて重傷を負った子どもがいました。二学期に投稿してきましたが、しばらくはいつも足を引きずっていて、もちろん運動はできませんでした。
 ある時、バス遠足へ行って、駐車場と現地との間に距離があって、帰りのバスに乗り込むまでに、少し距離を歩かないといけないということがありました。
 当然、足を引きずっている子どもは歩みが遅くて、みんなの後ろから少しずつ離れてしまいました。
 ところが、ふと見ると、一人の子どもがみんなの列から勝手に離れてゆっくりゆっくり歩き始めました。そして、最後尾の離れたところを歩いている子どものそばまで何も言わずに下がってきたのです。本来は、列を乱して下がってきたら注意するところなのですが、黙ってみていました。
 彼は一言も言うことはなかったのですが、その足を引きずる子どもと一緒にバスまで歩いてきたのです。
 この子は、友達と遊んでいる時に乱暴な言動が目立ち、みんなから非難を浴びることの多かった子どもです。
 バスに全員が乗り込んでから、僕はマイクを持って、
「みんな、静かに聴きなさい。」
と言いました。先生に何か叱られるのかと思った子どもたちは、神妙な顔をして、黙っていました。
 そこで僕は、足を引きずりながら歩いている友達に寄り添っていた子どもの話をしたのです。子どもたちは大声で
「〇〇、いいぞお!」
と声を上げ、拍手が沸き起こりました。

 従わなければならないルールというものはあります。でも、そのルールを守らなかった子どもの言動の裏にある思いを汲んで見直せば、子どもの良い姿が見えてくることがあるのです。

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