親力 ⑯ がまんしなければいけないこと

Posted By taga on 2022年2月23日

 ほかにも、がまんしなければならないことがあります。
 子どもが外で失敗したり挫折したりしたときのことです。
 挫折は、この世で準備できないことの一つです。挫折することを見越して手を打っておく等ということは、リスクマネージメントですよね。リスクマネージメントは、リスクを計算して前もって手をうっておくわけですから、挫折というものは起こりません。
 一生懸命頑張って、それでもダメだったり、予期せぬアクシデントに見舞われたりしたときに「挫折」と言うのです。
 いじめなどの精神的に追い込まれるものは、黙って見ている時間はありません。今どきの子どもたちは死に対するハードルが低いので、命に関わる事態になりかねませんから、早急に口を出して、一緒に解決策を考えていく必要があります。
 しかし、それ以外の挫折は、そっと黙ってみている時間が必要なのです。人は挫折から多くのことを学びます。挫折の全くない人間は脆かったり、他者の心情を思いやれなかったりする人間になりかねないのです。
 さすがに、挫折を楽しむことはできないけれども、挫折を乗り越えることはできます。そのためには、少し時間が必要です。それを黙ってみていて、癒しが必要だと思ったら、寄り添ってあげればいいのです。
 僕はたくさん挫折を経験してきました。二年間も浪人して、浪人の苦しさも味わいました。高校の友人のところへ行ったときに
「俺の人生は今、灰色や。」
と、自嘲気味に語ったら、その友人は
「多賀、灰色も人生なんやで。バラ色だけが人生やない。」
と言いました。今でも心に刻んでいる言葉です。
 人生は灰色もあるから、バラ色が輝くのです。人生を彩るさまざまな色が、自分の人生を豊かにしてくれるのです。
 採用試験も二回落ちました。大手塾の二つの面接も落ちて、大学院の試験も落ちました。三月の終わりの時点で、僕はどこも行くところがなかったのです。それが、三月三十一日に大学から電話がかかってきて、
「付属小学校へ行かないか?」
と言う話でした。そこから、僕の教師人生がスタートしたのです。
 いろんなことに挫折して悲哀を味わったからこそ、僕は若手の悩みにもよりそうことができるのだと思っています。
 人生に無駄はありません。挫折という経験も、全て自分の力に変えられるのです。
 目の前で挫折している我が子を見ると、すぐに口を出したくなりますが、その子の人生を豊かにしている時間だと考えて、がまんして黙って見ていることは、大切な事だと思分けませんか?

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